物件選び

なぜ、不動産屋はおとり物件(客引き物件)を出すのか?

最近、賃貸のご案内が続いていました。

そこで、こんな物件との出会いがありました。

 

 

「おとり物件」
「客引き物件」
です。

聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

 

私自身、昔
不動産屋さんの店頭の張り紙や
ネットでの情報を元に
めちゃくちゃ条件の良い物件に問い合わせしたところ

「申し込み入っちゃいました!」と言われて

それなのに、1週間経っても同じ物件が掲載されている・・・

なんてことが多々あり、

なんとなく肌感覚で
「おとり物件」「客引き物件」というのがあるということを知りました。

 

世の中が色々な「コンプライアンス」やら何やらで厳しく取り締まられ
消費者の発信力も強くなる中で
不動産業界でもそう言った
自社にマイナスになることはしなくなってきているだろうなぁ
と思っていましたが

やっぱり、まだまだありました。涙

ということで、今回は
「おとり物件」「客引き物件」について書いてみたいと思います。

 

Contents

おとり物件とは?

消費者庁の「不動産のおとり広告に関する表示」(昭和55年公正取引委員会告示第14号)によると

不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第四条第三号の規定により、不動産のおとり広告に関する表示を次のように指定し、昭和五十五年七月一日から施行する。

不動産のおとり広告に関する表示

自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表

一 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動
産についての表示
二 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産に
ついての表示
三 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産につい
ての表示
備考
この告示で「不動産」とは、土地及び建物をいう。

 

法律ってとても表現が独特ですよね。笑
簡単に直すとこんな感じです。

  1. 実際には存在しない物件(例…実在しない間取りや住所・地番を掲載した物件)
  2. 実際に存在するけれど取引の対象にならない物件(例…契約済みの物件)
  3. 実際に存在するけれど取引する意思がない物件(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

上記の3つを「おとり広告」として景表法で規定しています。

もっと平たくいうと(笑)
「借りられない」「買えない」物件を広告として表示している。ということなんですね。

 

なぜ、不動産屋はおとり物件を出すのか?

では、なぜ不動産屋は
そんな違反をしてまで「おとり物件」「客引き物件」を掲載するのでしょうか?

 

一言で言うと

「売上」のため

ですね。

 

実際にはその前段階である

「集客」

のため、と言うことです。

 

さらに正確にピンポイントで言うと

「リスト(連絡先・顧客情報)獲得」のため
ということも言えるかと思います。

(問い合わせの際の連絡先に後からいくらでも営業できる)

 

不動産屋には業者間で共通して見ることができる物件データベースがあり
基本的にどの不動産屋でも
どの物件でもご紹介は可能なのです。

(一部、「囲い込み物件」はありますが。それはそれでまた問題。笑)

 

と言うことは、

まずお客さまと接点を持つことができれば
そのあとは
いくらでも物件の紹介はできるので

「とにかく家を探している人と接触する」ことで
そこから他の物件を紹介して
契約(売上)に繋げよう。と言うことなのです。

 

「家を探している」人を
どの業者よりも早く、効率的に見つけるために
素晴らしい条件の物件(おとり)で釣っているわけです。

 

私は女性なのでわからないですけれど(笑、じゃあ書くな)
キャバクラとか風俗で
すっごく可愛い子の写真を出しておいて
実際はその子は在籍していない(過去にはいたけど今はやめてる)
とか。

そう言うのあるのかな??

 

あとは、飲食店で
超目玉メニューを作って

例えば「のどぐろ 握り 100円」
ってうたってるけれども
いつ行っても「完売」
とか?

あるとしたら
それに近いですよね。笑

不動産業界ではこの「おとり広告」を使った集客が横行していたので
このようにきちんと法律で明記されているわけです。

(が、なくならない…!!)

 

「おとり物件」だと気づけば
そんな広告を出す業者と契約をしたい人はいないと思いますが

「ちょうど申し込み入っちゃったんです〜」
「もっといい物件探しましょう!」なんて
すごく感じよく言われてしまって
疑うことをしなければ

気づかないまま
その業者さんとお付き合いすることになるかも知れませんよね。

でも、「おとり物件」に引っかかること自体
とても時間の無駄ですよね。

それでは、そんな「おとり物件」を見分ける特徴をあげてみたいと思います。

おとり物件の特徴は?

色々ありますがこの4つがよくある「おとり物件」の特徴です

  1. 周辺の相場より安い
  2. 優良物件、条件がいい物件にも関わらず ずっと情報が掲載されている
  3. 一度、成約済と断られたのにその後も掲載されている
  4. 内見する際、「まずは来社ください」と現地待ち合わせを拒否される

(4)の来社を促すのは、
まぁその物件がないので案内できないと言うこともありますし
なんとか来社させて
そこで「顧客情報」を取ったり他の物件を紹介してしまおう!と言うことですね。

 

こうして改めてみると、非常に姑息ですね。笑

こんな不動産業者に引っかかることがないようにしたいものです。

そこで
最後に、「おとり物件」に引っかからないためにできることについて書いておきますね。

おとり物件に捕まって時間を無駄にしないためにできること

こんなところをチェックしてみてください。

  1. 情報登録日、情報更新日、入居可能日が不自然でないか?

    例えば、すごく条件が良いのに
    情報登録日が数ヶ月前で「即入居可」なんてことはあまりありません。

    特に賃貸では良い物件は、瞬殺で消えてしまいます。

    ずっと残っていて、すでに退去済みとなると
    何らかの「心理的瑕疵」(事故物件とか)があるのか
    もしくはやはり「おとり物件」である可能性が高いです。

  2. 物件情報に「仲介」という記載があるのに1社しか紹介していない

    これはちょっと専門的な話になりますが
    物件情報の取引態様のところにこんな表記をみたことがあるかと思います。

    一般媒介(仲介)
    複数の会社が紹介してよい物件

    専任媒介
    特定の不動産会社に売却や入居募集を依頼した物件

    専属専任媒介
    媒介を依頼された会社だけが広告できる物件(大家さんや売り主の紹介もNG)

    売主(貸主)
    その物件の売り主(貸し主)が直接募集している物件

    この「一般媒介(仲介)」は通常複数の業者が広告していることが一般的です。
    にも関わらず、1社しか情報が載っていない場合は
    「おとり物件」(または「囲い込み物件」)の可能性が高いです。

    ただ実は、
    私は過去に同じ「おとり物件」を複数の業者が紹介しているのを
    みたことがあります。(おそらく過去に実際に出ていた物件なのでしょう)

    絶対的なチェックポイントにはなりませんが、注意してみるといいかな?と思います。

  3. 物件の内容がアバウト

    住所表記やマンション名などが明記されておらずアバウトな場合も
    「探られたくない」と言う意図が見える気がします。

    (ネットで検索したら他の業者が紹介したり、ある程度情報が見えてきます)

  4. 仲介なのにレスポンスが早すぎないか?

    一見とても良いことに思えますが、
    本来「仲介」であれば、物件の情報を確認するのに少し時間がかかります。

    それが、即レスできた場合は
    確認するまでもない「幻」の物件だと言う可能性があります。

    偶然、直前に一度問い合わせをしていたとか
    そう言う可能性もゼロではないので、もちろん100%ではありませんが。

 

と、4つチェックポイントをあげてみましたが
実はこんなチェックしなくても良い一番無駄のない方法があるんです。

それは。。。

お取引する不動産屋を1社に絞ること
です。

例えば、今回の取引の際
お客さまがsuumoなどのポータルサイトで見つけた気になる物件は
どんどん送ってもらいました。

それを私(不動産屋)が調べると「おとり」か否かはわかるのです。
もちろん、実在すれば案内は可能です。

自分で、色々な不動産屋に(個人情報をばらまいて。笑)問い合わせしなくても
一人信頼できる不動産屋を持つことで
無駄な時間も労力も無くなりますよ。

不動産との付き合いは
「物件」が軸でなくて
「業者」を軸に考えた方が安全安心なのかなぁと思います。
(もちろん、そう言う業者にすぐ出会えるかどうかと言う問題もありますが)

 

「おとり物件」まとめ
  1. 「おとり物件」には実在しない物件、取引できないまたはするつもりのない物件がある
  2. 「おとり広告」は景表法に違反すると定められている
  3. 不動産業者は集客のために「おとり広告」を出す
  4. 「おとり物件」の特徴は4つ!
  5. 「おとり物件」に捕まって時間を無駄にしないために信頼できる不動産屋さん1社に絞るのが安心